真っ先に向かう先は中央奥に展示されている日本大賞のエリア、そして右奥まで進み特別展示の部屋へ行きます。今年の展示は奇跡のカトレア~ドミニアーナ~とタイトルがありました。何が展示されているのかはいつも現地に行ってみてのお楽しみです。美しき花の競演、いくつかご紹介しましょう。上の写真はオンシジューム 桜色でシンボルモニュメントに飾られていました。
大賞受賞のパフィオペディラム ツクバ スウィート 'ヒサシ'
花の気品は格別なもので、かすり傷一つない葉の美しさにも目がとらわれます。でももう一つ、使われている鉢も固有で私にとってはたいへん印象的でした。明らかにハンドメイド、きっと思い出の詰まったものあるいは親しい方のお手製のものでしょう。
つくば洋蘭園 太田精一様 (茨城県)
奨励賞受賞はリカステ バージナリス 'アキコ' すくっと伸びた清楚な花々からは気品が漂います。大きな葉が特徴的でもあります。
斉藤正博様 (茨城県)
奇跡のカトレア~ドミニアーナ~の展示室の入り口では沢山のカトレアがお迎え。花は丁寧にスプレーされ、南米原産のカトレアにとってのよい環境作りをなさっていたのだと思います。これだけの数を期間中メインテしなければならず大変なご苦労であることが伺えます。1991年の第1回世界らん展日本大賞受賞花の展示もありました。原種の展示があり、日本で洋蘭の栽培が始まった初期の頃に、貴人や要人達が育てていたような品種の名前を目にする事ができ、私にとっては大変有意義なひとときでした。
写真はルスカスです。国産は八丈島で栽培されています。茎を切り戻し定期的な水替えをすると2ヵ月も長持ちする植物です。長さも十分あるためブーケにそのまま入れたり、アレンジメントでもとても重宝します。今回は斑入りでこんなにもおしゃれなルスカスを発見しました。すぐにでも使いたいと感じました。
カーネーション、バラ、ガーベラ、キンギョソウなどディスプレーは部屋の隅々まで続きます。
カーネーション(ダイアンサス)は複色-花びらの中心と外輪の色が違う物が最近は流行りですが、どれを見ても国産はやはり違います。花の展開が美しいんです!
ネームカードは撮り忘れです。
'ユカリ'
'オーロラオレンジ'
スプレータイプ 'カズキ'
単色で、明るいオレンジ色。名前は 'ミモザ'
オーキットのコーナーからのピックアップです。実は先月、日本における洋蘭の発展についてのリーサチをしながら勉強していた所です。いつ頃どのように西洋蘭が日本に渡来し、誰によってどのように発展していったかなど、関係者の方のご協力を得ていろいろ知る機会があり、今は熱冷めやらずというタイミングです。100年以上も前から愛され続けている花。交配が進み今でもとどまる事なく進化が進んでいる蘭の世界。会場でもエレガントな姿を楽しんできました。
展示は十分なスペースがとられ一つ一つの花の形がよく見えるように並べられていました。
一番背の高いのはエピデンドラム 'アートピンク'。う~ん我が家のはわずか20cm。どうやったらこんなに美しい花が咲くのでしょう!
オンシジューム 'イオノプシス' ピンクとありましたが、ブルーがとても強く出ています。こんなオンシジュームを見たのは初めてです。奥にあったパンプキン色のオンシも美しかったですが、見とれて写真を撮り忘れたようです。
毎年行われているこの展示会は切り花、枝物、観葉植物、蘭、シクラメンやガーデンプランツのポットフラワーなど広いジャンルがカバーされており、最新の花や流行などを見る事ができます。フラワーデザインの展示もありヨーロッパの作品とはまた趣の違う、ある意味日本独得の繊細な作品が見られます。今年も池袋サンシャインシティまでタイミングよく出かける事ができました。一昨年は最終日のため時間がなく展示の一部が見れませんでした。今年は手抜かりなくまずレイアウトをチェックしてから見学です。
今回の受賞作品のエリアの花をいくつかご紹介します。
ラナンキュラス 'エムピーチ' 季節的に今が旬のお花です。作品の横にはなぜ受賞したのかがまとめられていました。これは私たちが花を買うときにも参考になりますね。日ごろ私も何事もバランスと思っていますが、茎と花のバランス...とありました。
バラ 'テナチュール' ゴージャスな花びらで、見るからにボリュームがあり目がゆきます。
スプレーマム 'セイレミダス' 色が鮮やか、枝分かれが深く使いやすそうです。私たちがレッスンでアレンジメントをするときはたいていスプレー菊は枝から取って使う事が多いです。そんな時、少しでも枝が長いと重宝するんです。ライムグリーンの目(中心部)も爽やかです。元気がこぼれてきそうです。
クリスマスにはリースやガーランドなどと共にツリーが頭に浮かびます。欧米ではこの時期いたるところでモミや松、トウヒなど販売されます。それらの樹々にもちょっとしたエピソードがあるそうです。ツリーがクリスマスに使われ始めた頃のお話しを見つけました。
・モミの木はクリスチャンやペーガン(他の宗教を信じる人々・異教徒)たちの冬季の祭りに、数千年も使われていました。
・ペーガンたちは冬至に枝を家に飾り、春の訪れに思いをはせていたようです。
・ローマ人は新年モミの木を家に飾っていました
・クリスチャンは常緑樹を神との永遠の生の象徴として考えていました。
・おそらくモミが1000年前に最初に北ヨーロッパでクリスマスツリーとして使われた樹のようです。
・北欧の人々は冬の期間、常緑樹を箱などに植え家の中で栽培していました。
・初期の頃のクリスマスツリーの飾り方は天井から逆さまに釣り下げられていたようです。
・北欧でツリーが飾られ始めた初期の頃、モミや松以外のに用いられた植物はチェリーやサンザシ類などで、家の中でクリスマスの時期に花を咲かせて楽しんでいたようです。
・中には、本物の樹をもちいるのではなく木片を積み上げピラミッドの形を作りツリーにみたて、それに紙やリンゴ、キャンドルなどで装飾をしていました。
・それらはパラダイスツリー(エデンの園?)としての意味があったのでしょう。
・旧教会のカレンダーでは12月24日はアダムとイブの日で、パラダイスツリーそのものが 'エデンの園'を象徴したのでしょう。
・エストニアのタリンとラトヴィアのリガの2つの都市がクリスマスと新年を祝うものとしてツリー発祥であると宣言しているそうです。タリンでは1441年リガでは1510年。Rigaでは記念碑もあるとの事。
・1521年ドイツの写真では、司教に扮した人(おそらくSt.Nicholas)がパレードの中で、ツリーの後方に馬に乗っている所が写っているそうです。
・ドイツのブレーメン(オリジナルにはBremanと記載されています)では1570年から、リンゴや木の実、デーツやプレッツェル、紙の花が飾られた小さなクリスマスツリーの記録があります。
・最初にクリスマスツリーを家に持ち込んだのは16世紀のドイツ人聖職者マーチン・ルターではなかったかと...
フレッシュなグリーンを置くと気持ちが安らぎます。私も今年はツリーのアレンジメントを作ってみました。住宅事情に合わせて小さなものですが!
Happy Holidays!
花のリースは古代ローマの時代にはありましたが、クリスマスリースはいったいいつ頃からどのようにして広まったのでしょう?
クリスマスリースはアドヴェント(Advent)もしくはアドベンツリースとも呼ばれます。アドヴェントはもともとラテン語で「来る」という意味で、キリストの生誕4週間前の日曜日から誕生日まで期間の事です。この時期のリースはキリストの降誕を祝うために用意されるためアドヴェントリースと呼ばれます。
16世紀ごろ東ヨーロッパの人々がリースを作り出しました。リースの材料はエバーグリーンと呼ばれる針葉樹を含む常緑樹などです。モミ、マツ、ヒバ、ヒノキなどのコニファー類、アイビー、ホーリー、ボックスウッド(ツゲの仲間)、マグノリア、南天など様々です。上の写真はユーカリを使っています。
1920年代アドヴェントリースはドイツで人気となり、この時期になるとかならずリースを用意する習慣となりました。1930年代には米国にもヨーロッパからの移民(特にドイツ系)の人々がリース作りを始め、やがて一般に広まりました。
<リースのタイプ>
リースのタイプはフォームや水苔などを使い給水ができるタイプとまったく給水なしでドライにするタイプがあります。水を含んだフォームにアレンジするリースは植物のフレッシュさが長く保たれます。ドライのタイプは軽くできるためドアや壁などに飾る事が多いです。イギリスでは水苔を使ったタイプのリースもよく壁に掛けらています。
<リースとキャンドル>
テーブルに飾るタイプのリースにはキャンドルが置かれます。キャンドルは4本用意され、クリスマス前の4回の日曜日に1本ずつ火を灯します。すぐに暗くなる冬の時期のキャンドルの灯はぬくもりを感じ、人々の心や生活に温かみをもたらせてくれます。
何回か菊の花についてはトピックスにしていますが、よい記事を見つけましたのでご紹介します。
<オリジン&日本への渡来>
菊の花は紀元前15世紀ごろの中国が起源。薬草として高尚なごく一握りの人達の間でしか育てる事ができなかった時代にさかのぼります。高級な陶器にも描かれとても優雅で洗練されたものでありました。日本への渡来は7世紀後期~8世紀の奈良・平安時代。江戸時代には国民にも広く親しまれるようになりました。
<現在の種類>
3タイプのカテゴリー ①一枝に一つの花 一輪菊 disbudded ②一枝から枝分かれして沢山の花をつけるスプレータイプ spray ③背丈55cm以下、花径4cm以下のサンティーニ Santini
花の形は一重の花びら、2重以上の花びら、アネモネ咲き、スパイダー咲、ポンポン咲きなど。400種類が出回っています。
<よい花の選び方>
・茎が健康的であるかどうか。丈に見合った重さ、花の咲き具合、花が重過ぎる場合は茎が折れる可能性もあり。
・葉にカビなどの病気がないもの。特に茶色や白いスポットがあるものは注意。
・葉に極端な萎れがないもの。出荷で生産者の処理が足りない場合、輸送中に水切れが発生。
・パッケージによる蒸れ、雨による水濡れがないもの。花の部分に水がかかると短命に終わります。
・海外での流通の時ですが木化した茎がある場合は出荷からバケツでの扱いとなり、葉からの蒸発を防ぎ早く水があがるように濡れ新聞などで包んでいる時が多いです。花に水がかかっていなければ大丈夫です。
<飾り方のヒント>
折角花の種類が豊富になり、ずいぶんと素敵な菊が増えたのですからアレンジメントもグレードアップしてみましょう。2019年のトレンドです。3つのキーワードを含みます。
1. 一輪菊は高さを出しそれぞれの花の美しさをアピール 空間が大事です!その一輪菊の下部にはサンティーニやスプレーなどで多種類を楽しめるような配置で。こちらは空間をあけずに詰め込んでアレンジ。上と下で重さや空間の対比が生まれます。
2. 色に幅を持たせ、目に映る色の変化の効果を増やす。
3. 器はシンプルで素材は何でも。表面が滑らかな白い花瓶、光沢のあるものなどもよいです。
<購入後の切り花の手入れ>
9月になると南瓜や黒猫、コウモリやクモの巣、お化けなどの飾りがあちらこちらで見られるようになりました。日本でもすっかり定着した秋のイベント。ホームパーティーをするのにはとても過ごしやすい季節ですね。玄関先やテーブルなどにハロウィンのアレンジメントでお客様をお迎えしましょう。
ハロウィンの色についてはオレンジと黒が鉄板。この時点でテーマがはっきりしてきます。クールに白と黒の組み合わせや、ハロウィンカラーにライムグリーンを入れればポップに明るく仕上がります。また赤の濃淡で幅を広げたり紫を加え怪しげな雰囲気にしてもよいですね。市販されているオーナメントを使うのも楽しいです。折角の秋ですから実物もぜひ加えてください。 さて、ハロウィンアレンジメントにふさわしいお花です。
オレンジの花
ダリア バラ マム ガーベラ カーネーション ユリ リューコスペルマム ヒペリカム セロシア クロコスミア シンピジューム ジニア ヘリアンサス(ひまわり)など
ダリア ポンポン咲き オレンジ
リューコスペルマム
ヘリアンサス 'サンリッチ ライチ'
シンピジューム 'コカ・コーラ'
9月に入りイギリスのマーケットは秋の花のプロモーションが始まっています。今月のピックアップはアルストロメリア。日本でも20年以上前に大きなトレンドとなりその後も定着し、昨今の花屋で置いていないところはない位です。一本の茎の先端には5個ほどの花が散形状につき、色やパターンのバリエーションも増えフラワーアレンジメントにはとても使いやすい花です。今季の流行りは白系との事。アルストロメリアは10日から季節によっては3週間も楽しめます。家庭で飾るには相応しいお花だと思います。
管理上のポイントです。エチレンガスに弱いため果物とは別に管理。直射日光や風も避ける。花瓶は綺麗に洗い、ステムもその都度カットすればリフレッシュして水もよく吸い上げます。尚、茎を切る時は斜めに!フラットに切ってしまうと花瓶の底にぴったりと着いてしまい水が吸えなくなってしまいます。
アルストロメリアという名前はスェーデンのボタニスト カール・フォン・リンネCarl Linnaeusが、1753年に生徒の一人であるバロン・クラ・アルストロメールBaron Clas Alstroemerより譲り受けた種から出た植物であったため、その生徒の名前を植物に命名したとの事です。春先から初夏まで日本の庭先でも栽培可能。沢山花をつけてくれます。
アルストロメリア
ユリ (アルストロメリア) 科 アルストロメリア属
南米 ブラジル ペルー チリにまたがるアンデス山脈の冷涼地
Alstroemeria
Alstroemeriaceae / Liliaceae
Lily of the Incas, Peruvian, Inca lily, Parrot lily