イギリスのフローリスト専門誌 The Florist よりとても新しい情報です。
世界の花の市場では縦置きのバケツ輸送がメジャーです。切り取られた花は生産者からすでに水の入った状態で市場へ運ばれていますが、ヨーロッパではまた横置での花の輸送が始まりそうです。というのも水を必要としないパッケージが開発され、現在オランダの業者にて採用されています。
これは肉やベーカリー食品などの保存に採用されていた仕組み。空気を抜くことにより食品の鮮度を保つというものです。植物も空気を抜き眠った状態に保つのだと思います。このパッケージはActive Modified Atmospheric Packaging (AMAP)と呼ばれ、開発はPerfoTecによるもの。花は呼吸により水分がでて細菌が発生しやく、他の食品よりも開発が難しかったとの事。マンゴーの鮮度輸送に取り組んでいたインド最大のパッケージ会社UflexではPerfoTecnoシステムに着目。共同開発にて'Flexfresh’という地中分解可能なフィルムを発表。花は酸素をとりいれられ、一方で水分を蒸発させられるという画期的なもの。これにより花を乾燥したよい状態に保てる。
このFlexfreshは花をスリーブに入れたまま利用でき、5日は水がなくても大丈夫。顧客の手元に渡ってからは7日間は楽しめるというお墨付き。すでにオランダの通販会社BloomPostではこの形式により花の宅配を開始。膨大なコスト削減につながるとの事。何よりもよい事は、顧客が受け取ったときの状態を心配しなくてよい事だとも。今後は農家から市場へ。そして各店舗へ配送へも広がってゆく見込みと。
バケツが消える日ももうすぐかもしれないですね。
Ref: The florist Co. Uk 'water-free-flower-delivery-on-the-horizon'
オランダではチューリップの日 'National Tulip Day'というのがある事をつい最近知りました。2016年は1月16日土曜日。
アムステルダムのダム広場に生産者がチューリップガーデンを作り、訪れた人に無料でチューリップハンティングを楽しんでいただくというものです。お花のプロモーションの為ですがスケールが大きいですね。一番寒さが厳しい季節、ぽわ~んと揺れるチューリップの花に囲まれれば、なんとなく心は春に向いてゆくような気がします。詳細はオランダ観光局で。
チューリップについてのおさらいです。
学名Tulipa
英語名Tulip
ユリ科の球根植物
原産 中央アジア山地 (カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アフガニスタンからパキスタン北部、タジキスタンのパミール高原など)
名前はトルコ語のテュルバン(ターバン)に由来。花がヨーロッパに渡る時に通訳が花の形はターバンに似ていると説明した事から、花の名前と誤解されて伝わったものとされているようです。咲き方の色々はこちらのブログで。アネモネのお花のブーケの時にご紹介しましたが、チューリップは切り花にしても成長を続けます。成長過程でフラフラとポジションも動きます。それもまたこの花の魅力だと思いますが注意が必要です。
チューリップのアレンジメントは、上記の理由でちょっと敬遠していましたが、新年を迎え久々に頑張ってみようとエネルギーが湧いてきました!1月16日東京事務所でもチューリップ祭りにしようと思います。お越しになりたい方、日高までご連絡を!!
info @ fdb.jp (スペースは詰めて下さい)
オランダのアールスメアでは毎日、世界中から花が集まりクロックで競り落とされ振り分けられます。箱詰めされた花たちをセリに出す準備をする過程の記事がありました。
Optimal connectionという輸入花の箱の開梱作業を専門に扱う会社がアールスメアの市場内にあります。この会社では主にケニアからのバラ、イスラエル、エチオピアからの花を取り扱っています。スキポールから作業場へ送られてくる箱から花を出し、長さを整えバケツに立てる作業です。大きなバラなどはフインガーラインという特別な機械を使い吊るしながら長さをきっちりと合わせてまとめあげるそうです。写真を見てあの素晴らしく整った花の束の秘密が今わかりました!花は切りそろえられた後、スリーブと言われるラッピングに通されバケツにセットされます。このスリーブはデザインも多様、でもお値段も多様で企業の悩み所でもあるそうです。12台ある作業台、忙しいピークはバレンタイン・ディーで一日20時間フル稼働です。
品質管理では人間の目が欠かせません。この会社ではまず花が到着して箱から出された時にチェック。灰色カビ病などによる花のダメージを確認し、花の長持ち検査も行うとの事。そして花をバケツにセットしセリ用のトローリーに載せる時にももう一度チェックが入るそうです。ダメージがあればただちに生産者に連絡し、改善を協議します。当然ですね。アールスメアでは規模も金額も違います。
他の市場へも移動
アールスメアでの競争が厳しい場合はすぐに他の市場へのシフトを考えるそうです。隣の国のドイツからも引き合いがあるようです。毎日のレートを見ながらの作業、瞬時の判断は緊張の連続だと思います。それにしてもオンラインでの取引、他の競り市への素早いシフトでより多くの利益確保を現実のものとしているようです。
オークションを利用する多くの生産者の競争はますます厳しく、花の量が多すぎる場合は価格も下落。より多くの生産者が経営を続けることにより開梱サービスの利用をしていただけるのが望ましい限り。市場の動きを知り時には時にはじっくりと見極めが必要との事です。ビジネスは大きくなればなるほど慎重なプランニングが必要ですね。ブレーキとアクセル加減、その道のプロでも難しいようです。
Floral Daily Netherlands-How-flowers-are-being-unpacked,-prepared-for-the-auction より
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ゴンドラを降りてから再び敷地を散歩。なにやら沢山の人。ドイツ館の建物の外でリンゴの試食会をしていました。
建物の入り口には野菜を使った大きなオブジェがあり既に楽しい雰囲気を感じます。やっぱり!!! カラフルな野菜のアレンジメントを発見しました。イギリスのフラワーショーでは綺麗にディスプレーされていましたが、こちらドイツは完全に野菜を取り入れたアレンジメントです。ナチュラルな枝などを絡めてベースを作り様々な野菜を取りつけてゆくのです。秋のハーベスト、ちょっと疲れが出てくる頃に色鮮かな野菜たちに元気を分けてもらったようです。