クリスマスにはリースやガーランドなどと共にツリーが頭に浮かびます。欧米ではこの時期いたるところでモミや松、トウヒなど販売されます。それらの樹々にもちょっとしたエピソードがあるそうです。ツリーがクリスマスに使われ始めた頃のお話しを見つけました。
・モミの木はクリスチャンやペーガン(他の宗教を信じる人々・異教徒)たちの冬季の祭りに、数千年も使われていました。
・ペーガンたちは冬至に枝を家に飾り、春の訪れに思いをはせていたようです。
・ローマ人は新年モミの木を家に飾っていました
・クリスチャンは常緑樹を神との永遠の生の象徴として考えていました。
・おそらくモミが1000年前に最初に北ヨーロッパでクリスマスツリーとして使われた樹のようです。
・北欧の人々は冬の期間、常緑樹を箱などに植え家の中で栽培していました。
・初期の頃のクリスマスツリーの飾り方は天井から逆さまに釣り下げられていたようです。
・北欧でツリーが飾られ始めた初期の頃、モミや松以外のに用いられた植物はチェリーやサンザシ類などで、家の中でクリスマスの時期に花を咲かせて楽しんでいたようです。
・中には、本物の樹をもちいるのではなく木片を積み上げピラミッドの形を作りツリーにみたて、それに紙やリンゴ、キャンドルなどで装飾をしていました。
・それらはパラダイスツリー(エデンの園?)としての意味があったのでしょう。
・旧教会のカレンダーでは12月24日はアダムとイブの日で、パラダイスツリーそのものが 'エデンの園'を象徴したのでしょう。
・エストニアのタリンとラトヴィアのリガの2つの都市がクリスマスと新年を祝うものとしてツリー発祥であると宣言しているそうです。タリンでは1441年リガでは1510年。Rigaでは記念碑もあるとの事。
・1521年ドイツの写真では、司教に扮した人(おそらくSt.Nicholas)がパレードの中で、ツリーの後方に馬に乗っている所が写っているそうです。
・ドイツのブレーメン(オリジナルにはBremanと記載されています)では1570年から、リンゴや木の実、デーツやプレッツェル、紙の花が飾られた小さなクリスマスツリーの記録があります。
・最初にクリスマスツリーを家に持ち込んだのは16世紀のドイツ人聖職者マーチン・ルターではなかったかと...
フレッシュなグリーンを置くと気持ちが安らぎます。私も今年はツリーのアレンジメントを作ってみました。住宅事情に合わせて小さなものですが!
Happy Holidays!
花のリースは古代ローマの時代にはありましたが、クリスマスリースはいったいいつ頃からどのようにして広まったのでしょう?
クリスマスリースはアドヴェント(Advent)もしくはアドベンツリースとも呼ばれます。アドヴェントはもともとラテン語で「来る」という意味で、キリストの生誕4週間前の日曜日から誕生日まで期間の事です。この時期のリースはキリストの降誕を祝うために用意されるためアドヴェントリースと呼ばれます。
16世紀ごろ東ヨーロッパの人々がリースを作り出しました。リースの材料はエバーグリーンと呼ばれる針葉樹を含む常緑樹などです。モミ、マツ、ヒバ、ヒノキなどのコニファー類、アイビー、ホーリー、ボックスウッド(ツゲの仲間)、マグノリア、南天など様々です。上の写真はユーカリを使っています。
1920年代アドヴェントリースはドイツで人気となり、この時期になるとかならずリースを用意する習慣となりました。1930年代には米国にもヨーロッパからの移民(特にドイツ系)の人々がリース作りを始め、やがて一般に広まりました。
<リースのタイプ>
リースのタイプはフォームや水苔などを使い給水ができるタイプとまったく給水なしでドライにするタイプがあります。水を含んだフォームにアレンジするリースは植物のフレッシュさが長く保たれます。ドライのタイプは軽くできるためドアや壁などに飾る事が多いです。イギリスでは水苔を使ったタイプのリースもよく壁に掛けらています。
<リースとキャンドル>
テーブルに飾るタイプのリースにはキャンドルが置かれます。キャンドルは4本用意され、クリスマス前の4回の日曜日に1本ずつ火を灯します。すぐに暗くなる冬の時期のキャンドルの灯はぬくもりを感じ、人々の心や生活に温かみをもたらせてくれます。
菊
キク科キク属 Asteraceae
中国原産
Chrysanthemum x morifolium /or Dendranthema x grandiflorum
*Chrysanthemumは栽培菊
日本への観賞用の菊の渡来は7世紀後期~8世紀の奈良・平安時代ごろで「古今和歌集」に登場。育種は江戸時代に盛んになり、大輪の菊の「菊合わせ」という品評会が行われていました。その菊の発展は原産地中国にも大きな影響を与えたとの事。日本の菊は和菊とされ、サイズで大菊・中菊・小菊の分類となっています。日本からイギリスや米国へも渡り、各国での品種改良が進み、スプレーマムやポットマム(鉢)などを総称し洋菊と呼ばれ流通しています。
<サイズ別> 主に展覧会などで見られる和菊中心のご紹介
大菊 花の直径18㎝以上 6系統あり、豪華で見ごたえがあり
「厚物」 ボリューミーな花弁が中心に向かって揃い、ぽってりと丸い形
「厚走り」は下部の花弁が少し開き気味に垂れ下がるタイプ
左と中央は厚物」 右が「厚走り」
「大掴」つかんでねじったような趣。ネーミングもわかりやすいですね
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「管物」 管状花弁が放射に伸びて咲く。花弁の太さにより「太管」フトクダ「間管」アイクダ「細管」ホソクダ「針管」ハリクダと呼び名も変わります。細い花弁が放射状に下がりながら咲く花容はデリケートです
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「広物」 幅広の平弁の一重咲き 一文字とも呼ばれます
「美濃菊」幅広平弁の八重菊 岐阜県大垣地方で栽培され、色鮮やかさが特徴 ほろりとほどけた咲き方もエレガント
中菊 花径9㎝以上 大菊よりも小ぶりの手頃なサイズ。仏花の花束に入れられる輪菊のサイズです
日本を代表する花の一つである菊、すでにバリエーションは豊かですがまだまだ新しい物が出てきそうです。最近は海外からの輸入も多く一年中入手可能ですが、やはり秋という季節感がとても好きです。
シクラメンの花は年末にかけ出荷のピークとなり、トローリーに高く積まれ結構な取引量だと思います。いつもどのシクラメンにしようか体が冷えるまで花の前で悩んでしまいます。そんな事もあり今回は暖かい展示会場でシクラメンをじっくりと観察してきました。青紫、柔らかいピンク、白、フリンジのあるもの、複色のものなど、多様化が進みどれも素晴らしい鉢ばかりでした。
金賞 シクラメン 'ドリームピンク'
イギリスでよく目にしたフュージャのようなピンク色にライトピンクの細かいフリンジ。ご覧の通りラブリーです。
花の美しさに私のテンションが高くなりもう写真を撮るのに夢中。そして名前の記録を忘れてしまいました。青みが強い色でペタルには絞り模様があり、フリンジの部分と中心部が濃く出ているシクラメンです。花の青みは葉にもその特徴が見られます。
シクラメン 'かがり火ソフトピンク'こちらもブルーベースでクールな薄ピンク色。花びらのギザギザを見た瞬間、羽子板の羽かと思いました。モミジの葉にも見え、ソフィスティケートな色と容姿から軽さを感じるシクラメンでした。よい鉢は暖かくなっても花が上がってきます。春の優しい陽に照らされれば心も安らぎ浄化されそうです。
花の世界でもハイブリッドのスピードは目覚ましい物があり、種類もバラエティ豊かで、日本語でない花の名前を覚えるのも苦労するこの頃。関東東海・花の展覧会 国産の花の特別展へ出かけこれからの花を探求してきました。
鉢花から切り花への移行、多様なシクラメン、テーマを持たせたディスプィに植物の根ごと使い束ねるブーケ、枝物と季節の花での和の演出、色のグラデーションをうまく取り入れた各地の花のディスプレーなどビジュアルなプレゼンテーションも目を楽しませてくれました。
フラワーウォール
枝物を使った和室のディスプレイ
カラーグラデーションの美しいディスプレイ
受賞作品のコーナーより フラワーデザイナーの観点で自分で使ってみたい思うセレクションです。
真ん中がぷっくりと盛り上る丁子咲きのマーガレット、その中心部の筒形のフロレット(筒状花)でさえ先端が特徴的で色もスウィート!ポットフラワーです。名前はフランス語で最愛の母という意味の 'シェリエメール' だそうです。
マーガレット 木春菊 モクシュンギク Argyranthemum frutescens ''
キク科アルギランセマム属
キャンドル candleはラテン語のcandere輝る/光るからの派生語
チャペルタイプ
先がピラミッドのように尖っていて丸型の比較的太いタイプ。高さは5㎝から50㎝など様々。サイズの表示は高さmm/直径mm 色は白が大半。教会で使うオーソドックスなタイプでロンドンでは色のオーダーが可能との事。この時期はマーケットにゴールドもお目見えです。(画像はトップ)
ピラータイプ
円柱型で太さ長さもいろいろ。色は赤 オレンジ ブルー モスグリーンなどちょっとラステックなイメージに仕上げられているのが今のトレンド。こちらはFDBの卒業生の利佳さんが彼女のウェディングに手作りした物で、とても大事にしているキャンドルです。
テーパードタイプ
先端に向けなだらかに細くなっているキャンドル。太さも豊富でエレガントに空間を演出。アイボリー ゴールド シルバー インディゴ グレー ベージュ パープルやピンク、中には混色でデザインをされた物もあります。テーブルクロスに合わせられるほど多くの種類があり空間をうまく使いたい時はお薦めです。ただしアレンジメントに入れる際はしっかりと固定を。
ハウスホールド
細長い円柱。先端もフラット。ピラーを細長くしたタイプ。今年はライトなグレーと黒 ブラウン系も素敵かも!
ディナー
2月はヴァレンタイン・デーの大イベントがあり、どこの国でも花やチョコレートなどを愛しの人や家族へとプレゼントします。赤やピンクのハートを目にする事が多いこんな時期にグリーンのハートのキャンペーンをキャッチしました。ちょっと気になり記事を読んでみました。イギリスの女性の会(National Federation of Women's Institution)による地球環境の変化に目を向けようという運動です。小さなグリーンのハートを作り友人や家族にプレゼントし、温暖化防止の意識を高めようという活動です。バレンタイン・デーにはギフト交換をする機会が増えますので、そのプレゼントと共に手作りのグリーンのハートも渡しちゃいましょうとの事。普段からにグリーンのハートのチャームを身に着け、ちょっとした会話の話題も誘いましょうとのプロモーシンのヒントまでありました。フエルトでハートを手作りしたり、グリーンのアイシングを施したハートのクッキーを焼いたり、又フローリストたちは植物でハートを作ったりとなんとも心温まる活動だと思います。さて、私に何ができるかな。。。今日はこの記事を書くことにより、地球温暖化により世界的環境にどのような悪影響が出ているかを考える第一歩とさせてください。
英国ウィメンズインスティテュート グリーンハートのキャンペーンに関するページ
イギリスのメンバーのみなさんが作った可愛いグリーンハートの写真です。
カラーワイヤーとビーズで作った筆者のグリーンハート。
2017年2月 バレンタイン・デーまであと一週間。世田谷の市場では2月3日から7日まで、フローリストたちのコンペティションが開催されています。テーマは 「フラワーバレンタイン ~男性から女性へ贈る花束~」。日本では女性から男性へのプレゼントが多いのですが、海外では全く逆で、赤いバラの花束で奥様や恋人、あるいは思いを寄せる親しい友人たちへのブーケが飛び交います。本当にこの言葉がふさわしいくらいデス。
49組のエントリー。豪快に作る人、可愛い資材を入れ込んで作る人、個性的な花をうまく使う方もいらっしゃいました。提供された花の展示もあり、最近の素敵な花の魅力も合わせてゆっくりと拝見できました。
まずは貰いたいブーケ3点。まったくの個人的なピックアップです。
メインの花はチューリップ 'ホワイトリバースター' 白クラウン咲
バラ 'ビジュードネージュ’がメインのキャスケードブーケ
カラーの動きが美しいのですがメインはおそらくラナンキュラス?ユニークなストラクチャーで楽しめます。
バランスがよく美しいブーケ。左はガーベラ 'ヒマリア'、右の作品はスプレーバラの 'スーパークリンググラフィティ’ 。