何回か菊の花についてはトピックスにしていますが、よい記事を見つけましたのでご紹介します。
<オリジン&日本への渡来>
菊の花は紀元前15世紀ごろの中国が起源。薬草として高尚なごく一握りの人達の間でしか育てる事ができなかった時代にさかのぼります。高級な陶器にも描かれとても優雅で洗練されたものでありました。日本への渡来は7世紀後期~8世紀の奈良・平安時代。江戸時代には国民にも広く親しまれるようになりました。
<現在の種類>
3タイプのカテゴリー ①一枝に一つの花 一輪菊 disbudded ②一枝から枝分かれして沢山の花をつけるスプレータイプ spray ③背丈55cm以下、花径4cm以下のサンティーニ Santini
花の形は一重の花びら、2重以上の花びら、アネモネ咲き、スパイダー咲、ポンポン咲きなど。400種類が出回っています。
<よい花の選び方>
・茎が健康的であるかどうか。丈に見合った重さ、花の咲き具合、花が重過ぎる場合は茎が折れる可能性もあり。
・葉にカビなどの病気がないもの。特に茶色や白いスポットがあるものは注意。
・葉に極端な萎れがないもの。出荷で生産者の処理が足りない場合、輸送中に水切れが発生。
・パッケージによる蒸れ、雨による水濡れがないもの。花の部分に水がかかると短命に終わります。
・海外での流通の時ですが木化した茎がある場合は出荷からバケツでの扱いとなり、葉からの蒸発を防ぎ早く水があがるように濡れ新聞などで包んでいる時が多いです。花に水がかかっていなければ大丈夫です。
<飾り方のヒント>
折角花の種類が豊富になり、ずいぶんと素敵な菊が増えたのですからアレンジメントもグレードアップしてみましょう。2019年のトレンドです。3つのキーワードを含みます。
1. 一輪菊は高さを出しそれぞれの花の美しさをアピール 空間が大事です!その一輪菊の下部にはサンティーニやスプレーなどで多種類を楽しめるような配置で。こちらは空間をあけずに詰め込んでアレンジ。上と下で重さや空間の対比が生まれます。
2. 色に幅を持たせ、目に映る色の変化の効果を増やす。
3. 器はシンプルで素材は何でも。表面が滑らかな白い花瓶、光沢のあるものなどもよいです。
<購入後の切り花の手入れ>
9月になると南瓜や黒猫、コウモリやクモの巣、お化けなどの飾りがあちらこちらで見られるようになりました。日本でもすっかり定着した秋のイベント。ホームパーティーをするのにはとても過ごしやすい季節ですね。玄関先やテーブルなどにハロウィンのアレンジメントでお客様をお迎えしましょう。
ハロウィンの色についてはオレンジと黒が鉄板。この時点でテーマがはっきりしてきます。クールに白と黒の組み合わせや、ハロウィンカラーにライムグリーンを入れればポップに明るく仕上がります。また赤の濃淡で幅を広げたり紫を加え怪しげな雰囲気にしてもよいですね。市販されているオーナメントを使うのも楽しいです。折角の秋ですから実物もぜひ加えてください。 さて、ハロウィンアレンジメントにふさわしいお花です。
オレンジの花
ダリア バラ マム ガーベラ カーネーション ユリ リューコスペルマム ヒペリカム セロシア クロコスミア シンピジューム ジニア ヘリアンサス(ひまわり)など
ダリア ポンポン咲き オレンジ
リューコスペルマム
ヘリアンサス 'サンリッチ ライチ'
シンピジューム 'コカ・コーラ'
9月に入りイギリスのマーケットは秋の花のプロモーションが始まっています。今月のピックアップはアルストロメリア。日本でも20年以上前に大きなトレンドとなりその後も定着し、昨今の花屋で置いていないところはない位です。一本の茎の先端には5個ほどの花が散形状につき、色やパターンのバリエーションも増えフラワーアレンジメントにはとても使いやすい花です。今季の流行りは白系との事。アルストロメリアは10日から季節によっては3週間も楽しめます。家庭で飾るには相応しいお花だと思います。
管理上のポイントです。エチレンガスに弱いため果物とは別に管理。直射日光や風も避ける。花瓶は綺麗に洗い、ステムもその都度カットすればリフレッシュして水もよく吸い上げます。尚、茎を切る時は斜めに!フラットに切ってしまうと花瓶の底にぴったりと着いてしまい水が吸えなくなってしまいます。
アルストロメリアという名前はスェーデンのボタニスト カール・フォン・リンネCarl Linnaeusが、1753年に生徒の一人であるバロン・クラ・アルストロメールBaron Clas Alstroemerより譲り受けた種から出た植物であったため、その生徒の名前を植物に命名したとの事です。春先から初夏まで日本の庭先でも栽培可能。沢山花をつけてくれます。
アルストロメリア
ユリ (アルストロメリア) 科 アルストロメリア属
南米 ブラジル ペルー チリにまたがるアンデス山脈の冷涼地
Alstroemeria
Alstroemeriaceae / Liliaceae
Lily of the Incas, Peruvian, Inca lily, Parrot lily
菊
キク科キク属 Asteraceae
中国原産
Chrysanthemum x morifolium /or Dendranthema x grandiflorum
*Chrysanthemumは栽培菊
日本への観賞用の菊の渡来は7世紀後期~8世紀の奈良・平安時代ごろで「古今和歌集」に登場。育種は江戸時代に盛んになり、大輪の菊の「菊合わせ」という品評会が行われていました。その菊の発展は原産地中国にも大きな影響を与えたとの事。日本の菊は和菊とされ、サイズで大菊・中菊・小菊の分類となっています。日本からイギリスや米国へも渡り、各国での品種改良が進み、スプレーマムやポットマム(鉢)などを総称し洋菊と呼ばれ流通しています。
<サイズ別> 主に展覧会などで見られる和菊中心のご紹介
大菊 花の直径18㎝以上 6系統あり、豪華で見ごたえがあり
「厚物」 ボリューミーな花弁が中心に向かって揃い、ぽってりと丸い形
「厚走り」は下部の花弁が少し開き気味に垂れ下がるタイプ
左と中央は厚物」 右が「厚走り」
「大掴」つかんでねじったような趣。ネーミングもわかりやすいですね
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「管物」 管状花弁が放射に伸びて咲く。花弁の太さにより「太管」フトクダ「間管」アイクダ「細管」ホソクダ「針管」ハリクダと呼び名も変わります。細い花弁が放射状に下がりながら咲く花容はデリケートです
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「広物」 幅広の平弁の一重咲き 一文字とも呼ばれます
「美濃菊」幅広平弁の八重菊 岐阜県大垣地方で栽培され、色鮮やかさが特徴 ほろりとほどけた咲き方もエレガント
中菊 花径9㎝以上 大菊よりも小ぶりの手頃なサイズ。仏花の花束に入れられる輪菊のサイズです
ハロウィンで目にしたパンプキン。一体どうしてこのフェスで南瓜をくりぬくことを考えたのかとふと疑問に思っていたところ、ちょうどタイムリーに英国キューガーデンの記事を目にしました。
南瓜は字のごとく瓜の仲間でウリ科カボチャ属になります。ほとんどが水分で花、実は皮も含めてすべて食べられる南米原産の植物。古代から存在する食物の一つだそうです。成長も早く春に種を植えれば夏の終わりには立派な実を付けます。我が家でも地面から出てきた茎が何かわからず、ベランダに這わせておいて、ついに南瓜の実がなって正体が分かった事もありました。
さて本題です。ハロウィンはもともとケルト人の夏の季節の終わりの行事でした。詳細は別ページでご紹介していますが、10月最後の日は多くの死者の魂が下界に戻る特別な日とされ、人々は灯りを外に置き家によからぬ事が起きないようにしたとの事です。スコットランドやアイルランドではいつでも手短にあるカブやジャガイモでランタンを作っていたとの事。1800年代の中頃になるとスコットランドやアイルランドの人々はアメリカへ移民してゆき、そこで出会った南瓜をくりぬいたのがハロウィンには南瓜という習慣の始まりとの事です。カブやポテトより大きいので細工はしやすいかもしれませんね。
皆さんは南瓜をくりぬいた事ありますか・イギリスでも上手に作る人がいます。いつかチャレンジしてみたいものですね。
ハロウィンアレンジメントのお花 2019年秋アップしました。
ref:イギリスキューガーデンのブログ (ブログの記事がなくなりましのでリンクを外しました)
一番好きな作品です。
実際に装着可能な物としてのスケジュール(規定)です。ヨーロッパ諸国のコンペでは作品が仕上がるとモデルによるキャットウォークがあり、イベントを華やかに盛り上げる場面となります。昨年はマネキンに飾っただけだったそうですので進歩しています。
ステージの上での競技ではありますが、フロントの選手たちにとっては観客からはかなり近い位置です。カメラも随時テーブルの周りを廻り選手の表情を映し出しています。審査員たちも途中からステージに昇り審査を開始していました。様々な要因がプレッシャーとなってしまうと思いますが、こんな状況下でも経験豊かなフローリストたちは見事に作業を進めてゆきます。
同じ資材が提供されますがデザインは当然ながら全く異なります。フレームを組むプレワークの時間があり、競技開始前に各テーブルには準備されたフレームが並びます。様々な形をしたヘッドドレスのフレーム、何も置いていない所もありここからどんな作品ができるのだろう、どんな花を使うのだろう等と一人ワクワク期待が膨らみます。ちなみにドレスはくじ引きで決めたそうです。
時間と共に美しい作品が出来上がりその経過も楽しく拝見。ドレスやモデルの体格にあったデザインの全容が明らかになってきました。ファイナルに残る方々の作品は甲乙がつけがたいですね。気に入った作品が2点。ステージ向かって右側の手前と奥。右側奥の方が優勝でした。
<結果>
優勝 深町拓三さん ヘッドドレスの形はインドのターバンにも似ていてとても楽しみでした。ストラクチャーをデザインの一部として隠さずそのまま活かした無駄のない作品です。余裕でブーケまで作ってしまっておりましたが、なくても十分と感じました。
今年は金曜日と土曜日という日程だったため土曜日のファイナルに出かけてきました。久しぶりに秋らしいよいお天気、足取り軽くお台場のアクアシティまでお出かけです。会場の中では前日行われた予選の作品が所狭しと並んでいました。予選ではハンドタイドブーケとアレンジメント。2018年のテーマは「花でつなぐ日本。世界。」資材使いも楽しく、個性あるそれぞれの力作を拝見してきました。
ユニークな資材
多色を黒と合わせる作品が多かったように思います。日本固有の物からオリジナルの資材をハンドメイドしたもの、ナチュラルの資材を使ったものなどを巧みに組み合わせられ、どれもツイストが入りトップフローリストの柔軟性が覗えます。
足が最初に止まったのがこちらの作品。高明度の多色を黒で引き締めた作品です。日本で育てられたマムやダリアをメインの花とし資材と花双方でのパターンのリピートにより心地よいリズムが生まれている作品です。ウィンドーディスプレイでのアイキャッチャーにはブリリアントなアイディア。楽しい!
黒の枝とカラフルな手毬をストラクチャーとし花を添える手法。色が目に飛び込む作品。こちらの2つの作品は資材のビビットさで抜き出ていました。
障子紙のようですが、こんな使い方は初めて遭遇
2018年は幸運にも2回も英国ロイヤルウエディングを見る事ができました。チャールズ皇太子の弟君アンドリュー王子の次女、Princes Eugenie of York ユージニー王女とJack Brooksbank氏の結婚式が2018年10月12日にウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂で沢山の祝福の中で執り行われました。
さて、簡単ですがお持ちになっていたブーケについてです。ティアドロップシェイプで、おそらくワイヤーブーケで、お花4種類とグリーンは2種類ほど。英国王室伝統のマートルの葉は写真からでは確認できませんでした。白い花々の間から見えるブルーのエリンジウムはスコットンドの国を象徴するアザミに似ているためとの事で、英国のロイヤルウエディングには頻繁に登場するお花となります。手元のブーケに入れていない場合はたいていドレスやベールの刺繍に施されています。最近のブーケトレンドとしては小さな花を寄せ集めたブーケが非常に好まれます。キャサリン妃の時はスズラン、メーガン妃の時はアスチルベなどが印象的です。今回はマダガスカルジャミンも加わっているためもっと香るブーケだったに違いありません。
<ブーケのお花>
バラ
マダガスカルジャスミン
スズラン
エリンジウム
ヘデラ
イタリアンルスカス
ウェデイングドレスは英国のピーター・ピロット社デザイン。すそにかけてゆったりと広がるAラインにボリュームをキープしながらトレーンを長く引くエレガントなスタイルです。ブーケは王女の背丈とドレスの長さに合うように作られていて、サイズとボリュームは共に非常によいバランスでした。ハンドルはちょっと長かったような気がしますがカーブした独特なハンドルは英国王室のワイヤーブーケの特徴でもあります。ブーケはあくまでも花嫁を引き立てる脇役の一つ。ブーケだけ、あるいはブートニアだけ独り歩きをさせる事だけは避けたいですね。
イギリス王室の伝統に沿って、結婚式の翌日そのブーケはウエストミンスター寺院の無名戦没者の墓へと手向けられました。今年は2回もロイヤルウエディング。幸せそうな花嫁を拝見し、だれもが幸せを分けていただいたようなムードになったのではないでしょうか。ユージニー王女、どうぞ末永くお幸せに!
Ref:
結婚式の画像はTwitterの @RoyalFamilyで確認できます。
ウェディングの記事と写真 Elle Japon 日本語版 https://www.elle.com/jp/fashion/a23735139/princess-eugenie-piter-pilotto-wedding-dress-181012-hns/
秋分の日も過ぎ急激に秋となってしまいました。気温も低く洋服の衣替えも間に合っていない次第です。毎年秋植え球根のトピックスで書きたかったのですが、考えていてからもう数年は経ってしまっています。思い出した時がその時!今書かねばまた今年もタイミングを逃してしまうと思い頑張る事にしました。
春に咲くポピュラーな球根植物はほとんどといっていいほど今の時期に植えます。球根自体に栄養があるため直植えにする場合は特別に土を用意する事なく楽ちんなものです。事前に咲きそろった時のカラーハーモニーなどを考えてから植えるとだいたいの雰囲気が想像できます。カラフルにしたいのか全体を同じような色で統一するのかなどあれこれプランするのも楽しく、フラワーアレンジメントを始める前と同じです。イギリスのフラワースクールではまずデザインを考えてから行動に移すようにと教えられます。途中プランを変更し、何度も材料を変えたり考えを変えたりすると最終デザインに程遠いものができる事はもう皆様もご存じの通り。
近年は花の種類も増え選択肢が広まり、それはそれで悩むのですが思いついた秋植えの球根たちの列挙です。お馴染みの球根植物は春の球根植物のブログに載っている物とダブります。そしてちょっとマニアックで目を惹く物などもリストアップしてみました。庭に花があるとその花でもフラワーアレンジメントが楽しめます。一番新鮮な花は大いに利用したいですね!
<秋植えの球根植物-ポピュラーなもの>
チューリップ ユリ科チューリップ属 中央アジア イランパミール高原 カザフスタンステップ地帯原産
フリージア アヤメ科フリージア属 南アフリカ原産
スイセン ヒガンバナ科スイセン属(ナルキッスス属)イベリア半島 地中海沿岸原産
ヒヤシンス ユリ科ヒヤシンス属 地中海東部沿岸からイラ ン トルクメニスタン付近原産
ラナンキュラス キンポウゲ科ラナンキュラス属 地中海沿岸 西アジア~ヨーロッパ東南部原産
ムスカリ ユリ科ムスカリ属 地中海沿岸原産
アネモネ キンボウゲ科アネモネ属 地中海沿岸 西アジア~ヨーロッパ東南部原産
リューココリーネ ユリ科レウココリネ属 南アメリカ チリ原産
クロッカス アヤメ科クロッカス属 地中海沿岸 ヨーロッパ南部
シマクモキリソウ Liparis hostifolia
79年ぶりに南硫黄島にて発見との記事を見て、次の日に筑波実験植物園へ出かけてきました。よい秋晴れとなりましたがとても寒い朝でした。温室では「筑波らん展」が開催されており、珍しい蘭の花々とともに開花したシマクモキリソウが展示されていました。およそ20㎝位の小さな植物で花もまだ2つしか開花がなく野生蘭固有の地味感が漂います。解説にはこの植物の確かな記録があるのは父島と南硫黄島のみで、6月に現地で採集、3株持ち帰りそのうちの1株が開花し特徴からその種が判明したとの事です。大陸からは遠い小笠原諸島で独特の進化を遂げた生物の一つとの記載がありました。厳重に囲われ花まで距離があり、じっくりと目を凝らして見ているといつの間にか後ろには長蛇の列。たいへん失礼いたしました。珍しい蘭のすばらしい展示の数々。香のある花も多く短い時間でしたが蘭の花にとても癒されました。
ブラッサボラ 'ディグビアーナ' 細かいフリンジ付き。ユニークです。
バルボフィラル 'クライリット ベバルト'
デンドロキラム 'コビアナム' フィリピンの1400~2000mに自生。夏は風通しのよい戸外で栽培と注釈がありました。今年の夏にハワイアンナイトのトロピカルアレンジメントに入れた香のよい蘭です。